栄養部
肝臓病の食事を知ろう
肝臓病の食事は、以前は「高たんぱく、高カロリー、低脂肪」が大原則でしたが、現在では、病んでいる肝臓に多くの栄養を与えても、かえって負担を増してしまうことがわかっています。つまり、肝臓病の食事療法の基本は普通食を基本にした、バランスのとれた食事をとることです。 |
- 朝・昼・夕の3食を規則正しくとりましょう。
「朝食抜き、昼はコンビニのお弁当、夕食はドカ食い」といったように、大食したり、食べなかったりでは、肝機能のリズムが狂います。一日三度の食事を規則的にとりましょう。 - 毎食、主食(ご飯やパン)と主菜(魚・肉・卵・大豆製品)を1~2品、副菜(野菜)2~3品をとり、バランスよく食べましょう。
- 一日に果物1個、牛乳コップ1杯程度をとるようにしましょう。
- 新鮮な野菜や海藻を積極的にとりましょう。
野菜はビタミンやミネラル、食物繊維がたくさんあります。煮たり、炒めたりしてカサを減らし、一日300~400g(そのうち緑黄色野菜を100g)をとりましょう。 - アルコールを避けましょう
飲酒を続けると、肝癌になりやすいことが分かっています。どうしても禁酒できない人は、量を減らす、回数を減らすなどして、肝臓に負担をかけないようにしましょう。 - アルコール以外の嗜好品(ジュースやお菓子)もとりすぎないようにしましょう。
現在の日本人は栄養過剰の傾向にあり、脂肪肝の人が多くなっています。適正な食事量を守り、肥満にならないようにしましょう。
肝臓を守るじょうずなお酒の飲み方
肝臓の負担を少なくするためには日本酒で1合程度に抑えたほうがよいでしょう。また、気分や体調が悪いときは控えましょう。
肝臓がアルコールを処理できる能力は、体重1㎏あたり1時間に100~200mlです。言い換えると体重60kgの人の肝臓が、日本酒1合(アルコール22g)を処理するのに2~3時間はかかることになります。
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日本酒1合(180ml)に相当する量は、
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ビール(540ml)中ビン一本
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ウィスキー(65ml)ダブル1杯
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ワイン(240ml)グラス2杯
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焼酎(110ml)0.6合になります。
- 毎日続けて飲まないようにしましょう。アルコールを体の中から抜く日をもうけて、肝臓だけでなく、胃腸にも休みをあげましょう。
- 週に2日は「休肝日」を作りましょう!
肝臓病食1日目(朝食)
ごはん エネルギー632kcal、たんぱく質19.6g、脂質10.5g、食塩2.7g |
- ごはん 220g
みそ汁
- みそ 12g
- じゃがいも 35g
- 万能ねぎ 20g
スクランブルエッグ
- 卵(中一個) 50g
- ミックスベジタブル 20g
- こうしょう 少々
- 塩 0.5g
- マーガリン 2g
- レタス 20g
- パセリ
ヨーグルト
- 低脂肪ヨーグルト 95g
ふりかけ
- かつおふりかけ 3g
梅干
- 梅干 5g
果物
- ぶどう (1/3房)
スクランブルエッグ
- 冷凍のミックスベジタブルは常温にもどしておく。
- 卵を割りほぐし、塩、こしょうを混ぜあわせる。
- 熱したフライパンにマーガリンを溶かし、ミックスベジタブルを入れ炒める。
- 3の中に卵液を1度に流し入れ、箸で大きくかき混ぜながら、半熟状になるまで炒める。
- 皿に盛り、レタス、パセリを添える。
- スクランブルは、マーガリンを植物油にし、塩を醤油に変えて和風味に仕上げるのも良いですね。
- 脂質をもっと控えたい時は、フッ素樹脂加工のフライパンにして、使用するマーガリンを減らしましょう。
肝臓病食1日目(昼食)
ごはん 鮭のバジル風味焼き 鶏肉と野菜の煮しめ もやしの辛子和え エネルギー566kcal、たんぱく質31.7g、脂質8.56g、食塩1.5g |
- ごはん 220g
鮭のバジル風味焼き
- 鮭の切り身(中1切れ) 60g
- 塩 0.5g
- こしょう 少々
- ポッカレモン 5g
- オリーブ油 4g
- しその葉 1枚
- サラダ菜 1枚
- レモン 10g
- ミニトマト 30g
鶏肉と野菜の煮しめ
- 鶏むね肉(皮を除いたもの) 40g
- だいこん 30g
- にんじん 20g
- さやえんどう 5g
- 砂糖 2g
- みりん 2g
- しょうゆ 4g
- だし汁 20g
もやしの辛子和え
- もやし 60g
- みつば 10g
- からし 1g
- しょうゆ 2g
- だし汁 5g
鮭のバジル風味焼き
- しその葉を刻む。
- 鮭に塩、こしょう、ポッカレモンをふりかけ、刻んだしその葉をまぶし、鉄板にオリーブ油をひいて、並べる。
- 180℃のオーブンで10~15分程焼く。
- 皿にサラダ菜をのせ、その上に鮭を盛りつけ、ミニトマト、レモンを添える。
鶏肉と野菜の煮しめ
- 鶏肉、だいこん、にんじんを1口大に切る。
- 鍋にだいこんとにんじんとだし汁をいれて、中火にかけ、煮だったら、鶏肉を入れ、火を弱めて10分程煮る。
- さとう、みりん、しょうゆを加えて、野菜が軟らかくなるまで煮る。
- さやえんどうは筋をとり、ゆでておく。
- 皿に3を盛りつけ、さやえんどうを飾る。
- 今回は鉄板を使用しましたが、小人数の場合、フライパンでもできます。その際、オリーブ油とポッカレモンと塩を合わせたものに鮭を少々漬けてから、その油で鮭を焼きます。片面が焼けたら、白ワインを少々入れて、蒸し焼きのようにしてみましょう。油の量を抑えることができ、おいしく召し上がれます!様々なハーブ類を使って、楽しんでみましょう。
肝臓病食1日目(夕食)
ごはん エネルギー618kcal、たんぱく質22.1g、脂質14.0g、食塩3.1g |
- ごはん 220g
松風焼き
- 鶏ひき肉 50g
- たまねぎ 30g
- 生姜(おろしたもの) 2g
- 生パン粉 3g
- 鶏卵 3g
- 片栗粉 3g
- みそ 7g
- みりん 3g
- 油 2g
- けしの実 少々
- しその葉 1枚
茶せんなす
- なす 90g
- さとう 3g
- みりん 3g
- しょうゆ 5g
- だし汁 20g
トマトサラダ
- トマト(中1/2個) 60g
- グリーンアスパラ(1本) 30g
- たまねぎ 5g
- フレンチドレッシング(白) 8g
すまし汁(卵と万能ねぎ)
- 鶏卵 10g
- 万能ねぎ 2g
- だし汁 150g
- 塩 0.8g
- しょうゆ 2g
松風焼き
- たまねぎをみじん切りにし、生姜をおろしておく。
- みじん切りにしたたまねぎ、鶏ひき肉、おろした生姜、生パン粉、鶏卵,片栗粉、みそ、みりん合わせて、粘りがでるまで、よく練り合わせる。
- 油をひいた鉄板に②を流し入れ、けしの実をまんべんなく、上面にふりかける。
- 180℃のオーブンで10~15分程焼く。
- 皿にしその葉をのせ、盛りつける。
茶せんなす
- なすを茶せん状に切る。
- だし汁、さとう、みりん、しょうゆを火にかけ、煮だったら、なすを入れて煮る。
- 器になすを形良く盛る。
- 松風焼きは、すり鉢ですりながら混ぜ合わせると粘りがでて、舌触りもなめらかになります。
- 食欲のない時は、茶せんなすを煮る際、赤唐辛子を加えて、ピリッと辛味を効かせてみたり、暑い夏には、冷やしてから召し上がってみませんか?
肝臓病食2日目(朝食)
パン ウインナーと野菜のカレー味ソテー 果物 牛乳 エネルギー550kcal、たんぱく質18.7g、脂質15.8g、食塩2.1g |
- ロールパン 2個
- ブルーベリージャム 15g
- りんごジャム 15g
ウィンナーと野菜のカレー味ソテー
- ウィンナーソーセージ 20g
- キャベツ 30g
- ピーマン 20g
- 塩 0.5g
- カレー粉 0.3g
- オリーブ油 2g
果物
- バナナ(中1本) 100g
牛乳
- 牛乳(低脂肪) 200ml
- 今回は、カレー味ソテーに塩を加えましたが、塩分を控えたい方は、塩は加えなくても、ウインナーの塩味とカレー粉の風味だけでもおいしく召し上がれます。
- 牛乳は低脂肪牛乳にすると、脂質を無理なく減らすことができます。
普通牛乳7.6g⇒低脂肪牛乳2g(200mlあたりの脂肪)
肝臓病食2日目(昼食)
ごはん エネルギー549kcal、たんぱく質24.6g、脂質5.7g、食塩2.1g |
- ごはん 220g
鶏肉のごまだれ焼き
- 鶏もも肉(皮を除いたもの) 80g
- ごま(黒) 1g
- しょうゆ 5g
- 料理酒 3g
- みりん 2g
- レタス 15g
- パセリ
酢醤油和え
- にら 20g
- もやし 40g
- 酢 3g
- しょうゆ 3g
じゃがいもの含め煮
- じゃがいも 40g
- にんじん 20g
- たまねぎ 30g
- 砂糖 2g
- 醤油 5g
- だし汁 30g
鶏肉のごまだれ焼き
- 鶏肉をしょうゆ、みりん、酒、ごまをあわた調味料に15分程漬けこむ。
- 鉄板に油をひき、鶏肉をのせる。1の漬け汁を全体にかけ、ごまを鶏肉の上にふりかける。
- 180℃のオーブンで、10~15分焼く。
- 皿に焼き上がった鶏肉とレタスを盛りつけ、パセリを添える。
- 豚肉、牛肉を召し上がりたい...というかたは、茹でたにんじん、いんげんなどを芯にして、もも肉(脂身なし)の薄切りで巻き、ごまを除いたたれで、照焼にして召し上がるのは、いかがでしょう?もも肉は、脂肪が少なく、その上、野菜も一緒に召し上がられます。
肝臓病食2日目(夕食)
ごはん 白身魚のラビコットソースかけ ほうれん草と竹輪の 辛子醤油和え すまし汁(卵とねぎ) 果物 エネルギー603kcal、たんぱく質6.3g、脂質10.8g、食塩2.8g |
- ごはん 220g
白身魚のラビコットソースかけ
- ひらめ(中1切れ) 60g
- こしょう 少々
- 小麦粉 5g
- 油 2g
- たまねぎ 10g
- セロリ 3g
- トマト 15g
- オリーブ油 3g
- 酢 3g
- 塩 0.5g
ほうれん草と竹輪の辛子醤油和え
- 上竹輪 20g
- ほうれん草 60g
- しょうゆ 4g
- ごま油 1g
- 辛子 1g
果物
- パイナップル 50g
- プルーン(乾燥)種無し 1個
すまし汁
- 鶏卵 10g
- ねぎ 15g
- だし汁 150g
- 塩 0.8g
- しょうゆ 2g
白身魚のラビコットソースかけ
- ひらめにこしょう、小麦粉を粉ふるいにかけながら、まぶす。
- 熱したフライパンに油を入れ、ひらめを焼く。
- たまねぎ、セロリー、トマトは、あらいみじん切りにする。
- 3とオリーブ油、酢、こしょう、塩を混ぜ合わせる。
- 皿にひらめを盛り、4をかける。
- 今回は、ひらめを使いましたが、ラビコットソースは、白身魚はもちろん、肉にもピッタリです!
また、温野菜にかけてドレッシングのようにしていただくというのはいかがでしょう?
オリーブ油が入っていますから、かけ過ぎは禁物です。暑い夏に、さっぱりといただきたい・・・という時に最適ですね。
冷蔵庫で冷やすとより美味しく召し上がれます!
肝臓病食3日目(朝食)
ごはん みそ汁(白玉麩とねぎ) 切干大根の炒め煮 いんげんのおかか和え 果物 ヨーグルト(低脂肪) エネルギー601kcal、たんぱく質16.7g、脂質7.3g、食塩3g |
- ごはん 220g
みそ汁
- みそ 12g
- だし汁 150g
- 白玉麩 2g
- ねぎ 15g
切干大根の炒め煮
- 切干大根 10g
- にんじん 10g
- 油揚げ 5g
- あさりのむきみ 10g
- 植物油 2g
- 砂糖 2g
- みりん 2g
- しょうゆ 5g
- だし汁 30g
いんげんのおかか和え
- さやいんげん 30g
- かつお節 0.2g
- しょうゆ 3g
果物
- スイカ 200g
ヨーグルト
- 低脂肪ヨーグルト 95g
切干大根の炒め煮
- 切干大根は、軽く水洗いし、ひたひたの新しい水に20程つけておく。最後に手で握るようにして水気を絞る。
- 油揚げ、にんじんは短冊切りにする。
- 油揚げは、熱湯にくぐらせ、油抜きをする。
- 油をひいたフライパンに、切干大根を入れ、少し炒めたのち、だし汁を加えて煮る。火が通ったら、にんじん、油揚げ、あさりのむきみを入れてさらに煮る。
- 今回は、切干大根を使用しましたが、同じように食物繊維の豊富なかんぴょうも良いですね。
- 今回は、いんげんをかつおぶしで和えましたが、ごま和え、生姜和え、ピーナツ和え、酢味噌和え、柚香和えなど、変化をつけて、旬の野菜を召し上がってはいかがでしょう。
肝臓病食3日目(昼食)
ごはん 肉団子煮 かぶのおひたし 里芋ごま和え エネルギー622kcal、たんぱく質27.2g、脂質6.3g、食塩1.4g |
- ごはん 220g
肉団子煮
- ささみひき肉 60g
- ねぎ 10g
- しょうが(おろしたもの) 2g
- 生パン粉 5g
- 片栗粉 3g
- にんじん 30g
- はくさい 60g
- さやえんどう 20g
- 砂糖 3g
- みりん 3g
- しょうゆ 6g
- だし汁 30g
- 片栗粉 2g
かぶのおひたし
- かぶ 60g
- かぶの葉 15g
- 糸けずり 少々
- しょうゆ 3cc
里芋ごま和え
- さといも 80g
- ごま(白) 8g
- 砂糖 2g
- だし汁 10g
肉団子煮
- ねぎは、みじん切りにする。
- ささみ挽肉、ねぎ、おろした生姜、生パン粉、片栗粉を合わせ、粘りがでるまでよく練る。団子状にする。
- はくさいは、2~3つに切ってから4cm幅に切り、にんじんは4cm長さの短冊に切る。さやえんどうは筋をとる。
- 鍋にだし汁としょうゆ、さとう、みりんを合わせて煮たて、②を入れて、アクをすくいながら煮る。団子に火が通ったら3を入れ、中火で煮る。
- 深めの器に盛る。
- 今回は鶏のささみの挽肉を使用しました。鶏のささみは、もも肉や胸肉より脂肪分が少なく、蛋白質が多いので、用意できると良いでしょう。用意できない場合は、鶏挽肉の脂肪分の少ないものを選びましょう。醤油ベースの味に飽きてしまった...という方は、コンソメやケチャップにかえてみると、一味違った一品に仕上がります。
肝臓病食3日目(夕食)
ごはん かじきの磯香煮 卵豆腐 きゅうりともやしの梅肉和え 絹さやのバター炒め エネルギー612kcal、たんぱく質29.1g、脂質14.0g、食塩2.8g |
- ごはん 220g
かじきの磯香煮
- かじき(中1切れ) 70g
- 砂糖 2g
- みりん 3g
- 料理酒 3g
- しょうゆ 7g
- だし汁 30g
- 乾燥わかめ 1g
卵豆腐
- 卵(中1個) 50g
- だし汁 50g
- 塩 0.3g
- 砂糖 1g
- みりん 2g
- しょうゆ 2g
- だし汁 15g
梅肉和え
- もやし 40g
- きゅうり 20g
- 梅肉(梅干の種を除いたものを包丁でたたいて使っても良い) 4g
- みりん 1g
絹さやのバターいため
- さやえんどう 30g
- エリンギ 20g
- マーガリン 3g
塩 0.3g
こしょう 少々
かじきの磯香煮
- 乾燥わかめは、水に戻しておく。
- 鍋にさとう、みりん、酒、しょうゆ、だし汁をいれて煮立てる。
わかめを煮る時に2を使用するので、残しておく。 - 2の中にかじきを並べ、落し蓋をして、中火で煮る。この間に煮汁をすくって全体にかけ、味をよく含ませる。
- 戻したわかめを1口大に切る。
- わかめ用にとっておいた2を煮立たせ、わかめを煮る。
- 皿にわかめとかじきを盛りつける。
卵豆腐
- だし汁に塩を加えて、冷ましておく。
- 卵は、泡たてないように、よく溶きほぐす。
- 2に冷めただし汁を少しずつ加え、よく混ぜて、裏ごしする。
- 流し箱に2をいれる。
- 蒸気が良くたった蒸し器に4を入れ、3分程強火のまま、蒸し器の蓋をしないで、蒸す。
- 火を弱火にし、蓋をして、15~20分蒸す。
- 冷ましてから、冷蔵庫に入れて、冷やす。
- だし汁を火にかけ、さとう、みりん、しょうゆを加える。
- 冷蔵庫からだした7を皿にもりつけ、8のだし汁をかける。
- 卵豆腐に、みつばや木の芽、ゆずなど香りの良い素材をのせると、見た目も美しく食事全体が豊かになります。また、卵豆腐に変化をつけたい...という方は、卵液に茹でたかぼちゃと少々の砂糖をいれ、「かぼちゃ豆腐」はいかがでしょう?
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梅肉和えは、えのきたけ、れんこん、かぶなどといった淡白な白い素材と和えると、見た目も美しくおいしく召し上がれますね。