栄養部
胃・十二指腸潰瘍食を知ろう
胃・十二指腸潰瘍は食生活を含む生活習慣が大きく影響しています。また、現代生活に関連した影響(ストレスなど)でも障害が起こっています。胃・腸に異常が現れたら、早期に検査を受け、薬物療法と合わせて、胃・腸にやさしい食生活を送りましょう。
- 固いものや繊維の多いものは控え、少量で栄養価が高く、消化のよい食品を選びましょう。
- 酸味の強い食品・コーヒー・炭酸飲料・香辛料など胃液分泌を促進するような食品は避けましょう。
- 極端に温度差のあるもの(熱いもの、冷たいもの)は控えましょう。
- 過食・過飲を慎み、規則正しい食生活をしましょう。
- よくかんでゆっくり食べましょう。
- 食後はゆっくり休息をとりましょう。
- たばこ・アルコールは避けましょう。
- 食事の1回量を少なくし、回数を多くしましょう。
胃・十二指腸の手術をした人は胃や腸が小さくなったり、短くなったりしているため、一度にたくさん食べられなくなり、栄養不足になりやすくなります。エネルギーやたんぱく質が不足すると回復が遅れますので、1回の食事量を減らして回数を増やします。退院後2か月ころまでは1日の食事を5~6回に分けます。間食もお菓子ではなく、通常の食事に近いものが理想です。 - 消化吸収のよい食品をバランスよく食べましょう。
食べられないものはほとんどありません。ただし、繊維の多いもの、刺激の強いもの、脂っこいものは消化が悪いので控えめにします。いつまでもおかゆだけに頼らす、柔らかく炊いたご飯にして、たんぱく質も十分とるようにします。 - よくかんでゆっくり食べましょう。
よくかんで食べると唾液の中に含まれる消化酵素と食物がよく混ざり、胃腸での消化の負担を軽くします。また、よくかむことは満腹感を生み、食べすぎを防ぎます。 - 食事はなごやかに楽しく食べましょう。
楽しい雰囲気のなかで、きれいに盛り付けられた見た目も美しい食事、香りのよい料理は食欲を増進させ、患者さんの心理的な負担も軽くします。 - 食後は安静にしましょう。
食後すぐに働いたり、乗り物に乗ったりすることはよくありません。少なくとも20~30分はゆっくり休むことが必要です。
胃腸に好ましくない食品
消化の悪い食品 | 干物、燻製品、いか、たこ、貝類、脂身の多い肉魚、かに、ゆで卵 | |
繊維の多い食品 | 全粒粉パン、胚芽米、とうもろこし、さつまいも、大豆、ごぼう、うど、レンコン、ふき、山菜、きのこ類、海藻類、こんにゃく | |
刺激の強い食品 | 香辛料(辛子、カレー粉(カレールーも含む)、こしょう) | |
香味野菜 | 生ねぎ、生玉ねぎ、みょうが 、しょうが、しそ、パセリ、セロリ、にんにく | |
柑橘類 | レモン、夏みかん | |
飲料類 | アルコール飲料、炭酸飲料、カフェイン |
胃・十二指腸潰瘍食1日目(朝食)
パン エネルギー699kcal、たんぱく質24.1g、脂質34.1g、炭水化物80.3g |
- ロールパン 64g(小2個)
- いちごジャム 15g
- りんごジャム 15g
スクランブルエッグ
- 卵 50g(1個)
- プロセスチーズ 10g
- こしょう 少々
- マーガリン 5g
- キャベツ 20g
- にんじん 5g
- ミニトマト 15g(1個)
- マヨネーズ 10g
フルーツヨーグルト和え
- プレーンヨーグルト 40g
- バナナ 30g
- 黄桃缶 20g
- はちみつ 5g
牛 乳
- 牛乳 200ml
スクランブルエッグ
- チーズは1cm角のさいの目に切っておく。
- 卵を割りほぐし、チーズ、こしょうを混ぜあわせる。
- 熱したフライパンにバターを溶かし、卵液を入れ、かき混ぜながら加熱する。
半熟状になったら火を止める。 - 皿に盛り、茹でたキャベツ、にんじんとミニトマトを添える。
- スクランブルエッグは出来上がったらすぐお皿に盛りましょう。フライパンにのせたままにしておくと、卵がかたまり、色も悪くなります。
胃・十二指腸潰瘍食1日目(昼食)
ごはん
鶏肉のホイル焼き
かぼちゃ甘煮
おひたし
牛乳
エネルギー618kcal、たんぱく質29.1g、脂質13.5g、炭水化物101.6g
- ごはん 180g
鶏肉のホイル焼
- 鶏むね肉(皮を除いたもの) 60g
- 塩 0.5g
- こしょう 少々
- 料理酒 2g
- たまねぎ 30g
- トマト 30g
- マヨネーズ 5g
- しょうゆ 5g
かぼちゃ甘煮
- かぼちゃ 60g
- 砂糖 5g
- みりん 3g
- だし汁 30g
白菜のおひたし
- はくさい 70g
- 糸けずり 0.5g
- しょうゆ 3g
牛乳
- 牛乳 200ml
鶏肉のホイル焼き
- アルミホイルを20cmの長さに切っておく。
- たまねぎ、トマトは1cmの厚さにスライスする。
- アルミホイルの上に鶏肉をのせ、塩こしょう、料理酒をふりかけ、マーガリン、たまねぎ、トマトの順にのせていく。
- アルミホイルを中央で閉じ、両側も同じように包む。
- 180℃に温めておいたオーブンに4を入れ、15分間焼く。
- 皿にのせ、中央の閉じた部分を開けてすすめる。
- 今回のホイル焼きは鶏むね肉を使用しましたが、たらや鮭のような魚を使用してもおいしく召し上がれます。
- かぼちゃは煮くずれやすいので、面取りをします。
胃・十二指腸潰瘍食1日目(夕食)
ごはん
かれいの煮魚
里芋の田楽
すまし汁(麩といんげん)
エネルギー450kcal、たんぱく質21.9g、脂質2.1g、炭水化物86.0g
- ごはん 180g
かれいの煮魚
- かれい(皮・骨付き中1切) 150g
- 砂糖 3g
- みりん 3g
- 料理酒 7g
- だし汁 30g
- オクラ 10g(1本)
里芋の田楽
- 里芋(中1個) 40g
- だいこん 40g
- 赤だしみそ 6g
- 砂糖 3g
- だし汁 30g
すまし汁(麩といんげん)
- 庄内麩 2g
- さやいんげん 10g
- だし汁 150g
- 塩 0.8g
- しょうゆ 2g
かれいの煮魚
- かれいは皮の表面に斜めの十文字の包丁目をいれる。
- 鍋にだし汁、調味料を入れて火にかけ、煮立ったらかれいを入れ、落し蓋をして強火にかける。
- 煮立ったら中火で10分、ときどき鍋を回して煮汁をかれい全体にゆきわたらせ、照りよく仕上げる。
- 皿に盛りつけ煮汁をかける。塩ゆでにしたオクラを1本添える。
里芋の田楽
- 里芋は皮をむき、一口大の大きさに切る。だいこんは皮をむき、3cmの厚さの半月切りにする。
- 里芋、だいこんはぞれぞれゆでておく。
- 赤だしみそ、砂糖、だし汁を火にかけ、田楽みそを作る。
- 器に里芋、だいこんを盛り、田楽みそをかける。
- 煮魚のかれいを子持ちのものにするときは、卵の部分に火が通りにくいのでだし汁を多くし、加熱時間を長くしてじっくり煮ると良いでしょう。
胃・十二指腸潰瘍食2日目(朝食)
ごはん
みそ汁(ポテトとたまねぎ)
納豆
キャベツのおかか和え
りんごのコンポート
牛乳
エネルギー657kcal、たんぱく質22.3g、脂質13.4g、炭水化物120.5g
- ごはん 190g
みそ汁(ポテトとたまねぎ)
- みそ 12g
- だし汁 150g
- じゃがいも 20g
- たまねぎ 30g
納 豆
- ひきわり納豆(1パック) 40g
- オクラ 5g(1/2本)
- 納豆のたれ 3g
キャベツのおかか和え
- キャベツ 35g
- かつお節 0.2g
- しょうゆ 3g
りんごのコンポート
- りんご 100g(中1/2個)
- 砂糖 10g
牛乳
- 牛乳 200ml
- 今回はひきわり納豆を使用しましたが、常食(ごはん食)を召し上がられている方は普通の納豆に変えてもかまいません。
胃・十二指腸潰瘍食2日目(昼食)
ごはん
蒸し魚野菜あんかけ
青菜のしらす和え
じゃがいもの含め煮
牛乳
エネルギー602kcal、たんぱく質29.2g、脂質8.7g、炭水化物107.3g
- ごはん 190g
蒸し魚野菜あんかけ
- たら 70g
- たまねぎ 20g
- にんじん 20g
- 砂糖 5g
- しょうゆ 7g
- だし汁 30g
- 片栗粉 2g
- さやえんどう(冷凍) 5g
青菜のしらす和え
- 小松菜 70g
- しらす干し 5g
- しょうゆ 2g
じゃがいもの含め煮
- じゃがいも 35g
- にんじん 20g
- 砂糖 5g
- みりん 3g
- しょうゆ 5g
- だし汁 30g
牛乳
- 牛乳 200ml
蒸し魚野菜あんかけ
- たらは蒸気の出ている蒸し器に入れて8~10分蒸す。
- たまねぎ、にんじんは千切りにし、ゆでる。
- 鍋にだし汁と調味料をいれ、煮立ったら2をいれ水溶き片栗粉でとろみをつける。
- 皿に蒸したたらをのせ、上から3のあんをかける。ゆでたさやえんどうを盛りつける。
- 牛乳ばかりで飽きてしまった...という方は、コーヒーを少し加えてカフェオレにしたり、バナナ・卵黄・砂糖を加えてバナナセーキにしたりして目先を変えると牛乳もおいしくいただけます。
胃・十二指腸潰瘍食2日目(夕食)
ごはん
豆腐そぼろあんかけ
茶せんなす
かぼちゃサラダ
すまし汁(花麩とねぎ)
エネルギー633kcal、たんぱく質24.6g、脂質13.8g、炭水化物110.0g
- ごはん 190g
豆腐そぼろあんかけ
- 木綿豆腐 100g(1/3丁)
- だし昆布 2g
- 鶏ささみひき肉 30g
- にんじん 10g
- しょうが 1g
- みりん 5g
- 砂糖 3g
- しょうゆ 7g
- だし汁 30g
- 片栗粉 2g
- グリンピース(冷凍) 5g
茶せんなす
- なす 80g(中1本)
- 砂糖 3g
- みりん 3g
- しょうゆ 7g
- だし汁 20g
かぼちゃサラダ
- かぼちゃ 80g
- マヨネーズ 10g
- 塩 0.2g
- パセリ 0.5g
すまし汁
- 花麩 2g
- ねぎ 15g
- だし汁 150g
- 塩 0.8g
- しょうゆ 2g
豆腐そぼろあんかけ
- 豆腐は1/3の大きさに切る。鍋に水とだし昆布を入れ、豆腐を煮る。
- にんじんはみじん切り、生姜はおろしておく。
- だし汁に調味料、おろし生姜を入れ、火にかけ、ささみひき肉とにんじんを加え10分ほど煮る。
- 水溶き片栗粉を加えとろみをつける。
- 器に豆腐を盛り、そぼろあんをかける。ゆでたグリンピースを飾る。
- 今回は茶せんなすを献立に取り入れましたが、なすは焼いて食べるのもまたおいしいものです。
やまいもをすりおろして『焼きなすやまかけ』なんていかがでしょう?
ただし、やまいもすりおろしは喉ごしがよく噛まずにつるり...なんてことがよくあります。よく噛んで食べることが大切です!!
胃・十二指腸潰瘍食3日目(朝食)
ごはん
みそ汁(白玉麩ともやし)
白身魚の煮魚
グリンピースの薄くず煮
バナナ
牛乳
エネルギー655kcal、たんぱく質31.3g、脂質29.3g、炭水化物77.0g
- ごはん 190g
みそ汁(白麩ともやし)
- みそ 12g
- だし汁 150g
- 白玉麩 2g
- もやし 25g
白身魚の煮魚
- 白身さかな 60g
- 砂糖 3g
- みりん 3g
- しょうゆ 3g
- にんじん 20g
- さやえんどう(冷凍) 5g
グリンピースの薄くず煮
- グリンピース(冷凍) 30g
- たまねぎ 10g
- コンソメ顆粒 0.5g
- 塩 0.3g
- こしょう 少々
- 片栗粉 2g
バナナ
- バナナ 100g(中1個)
牛乳
- 牛乳 200ml
グリンピースの薄くず煮
- たまねぎはグリンピースの大きさに合わせて切る。
- グリンピース、たまねぎはさっと茹で、調味料で味を整える。
- 水溶き片栗粉でとろみをつける。
- 献立をたてる際は、栄養のバランスはもちろん、色彩にも気を配りましょう。野菜をお花の形に型抜きしたり、グリンピースやさやえんどう、ミニトマトやパセリをちょこっと添えるだけで、見た目にも食欲が増すものです。
飾りに添える程度のグリンピースやさやえんどうなどは、冷凍の物を使うと便利です。
胃・十二指腸潰瘍食3日目(昼食)
五目うどん
茶碗蒸し
ポテトサラダ
牛乳
エネルギー709kcal、たんぱく質31.2g、脂質29.1g、炭水化物77.3g
五目うどん
- ゆでうどん 240g(1玉)
- 鶏むね肉(皮を除いたもの) 20g
- にんじん 10g
- ほうれん草 30g
- もやし 15g
- だし汁 150g
- 砂糖 1g
- みりん 3g
- しょうゆ 12g
茶碗蒸し
- 鶏卵 40g
- だし汁 120g
- 塩 0.8g
- 鶏もも肉(皮を除いたもの) 10g
- 生しいたけ 5g
- みつば 3g
ポテトサラダ
- じゃがいも 50g
- ツナ缶詰 20g
- にんじん 5g
- マヨネーズ 15g
牛乳
- 牛乳 200ml
茶碗蒸し
- 生しいたけは石づきをとって5mm位の厚さにスライスする。みつばは3cm長さに切る。
- 卵を割りほぐし、だし汁、塩を加えて卵液をつくり、1度こす。
- 器に鶏肉、生しいたけを入れて卵液を注ぐ。
- 蒸気の上がった蒸し器に3を入れ、1分ほど強火で、その後は弱めの中火で18~20分蒸す。
- みつばを散らし、ふたをする。
- うどんやお粥は噛まずにつるっと食べることができるので早食いになりがちです。ゆっくりとよくかんで食べるようにしましょう。よく噛んで食べることは、胃腸の負担を軽くします。食後はゆっくりと休息することをお忘れなく!!
今回は茶碗蒸しに生しいたけを使用しましたが、少量であるなら特別問題はありません。ただし、干ししいたけは消化が悪いので使用は避けます。
胃・十二指腸潰瘍食3日目(夕食)
ごはん
ロールキャベツ
炒り豆腐
茹でかぶあんかけ
エネルギー518kcal、たんぱく質21.2g、脂質8.6g、炭水化物92.7g
- ごはん 190g
ロールキャベツ
- 鶏ひき肉 40g
- たまねぎ 20g
- 生パン粉 5g
- 塩 0.5g
- こしょう 少々
- キャベツ 70g
- コンソメ顆粒 0.5g
- トマトケチャップ 15g
炒り豆腐
- 絞り豆腐 50g(1/6丁)
- ねぎ 15g
- にんじん 20g
- グリンピース(冷凍) 3g
- みりん 3g
- しょうゆ 5g
- だし汁 10g
茹でくずあんかけ
- かぶ 50g
- かに水煮缶詰 10g
- 塩 0.3g
- しょうゆ 2g
- 片栗粉 2g
- だし汁 20g
- さやえんどう(冷凍) 5g
ロールキャベツ
- キャベツは1枚ずつはがしてゆでておく。
ゆで汁は捨てずにとっておく - たまねぎはみじん切りにする。
- 2に鶏ひき肉、生パン粉を加え、塩こしょうをして混ぜあわせる。
- キャベツの真ん中に3をのせ、巻いていく。
- キャベツのゆで汁にコンソメ顆粒とトマトケチャップを加え、4を並べる。落し蓋をして火にかける。
- 煮立ったら弱火にして30分、時々鍋をまわして全体に味がわたるように煮る。
- 2つまたは3つに切り分けて、深めのお皿に盛りつける。
- 今回のロールキャベツは洋風の味付けにしましたが、洋風はちょっと...という方やお年寄りの方には、しょうゆ味で和風にしていただくとまた一味違ったロールキャベツになり、おいしく召し上がっていただけます。