栄養部
貧血食を知ろう
貧血とは赤血球あるいは赤血球の主要成分であるヘモグロビンが、正常値以下に減少した状態をいいます。一般に貧血といえば鉄欠乏性貧血をさします。
鉄を材料にヘモグロビンが合成され、ヘモグロビンから赤血球が産生されます。つまり、鉄不足はヘモグロビンと赤血球の産生を妨げることとなり貧血を起こします。
鉄欠乏性貧血は鉄不足だけではなく、『偏食・欠食・食が細い・無理なダイエット』といったことからも起こりうる疾患です。バランスのよい献立を考え、自分にあった食事量を確保することも大切です。
性別・年齢・身体活動量に合わせた栄養量を摂取します。
『日本人の食事摂取基準』を参照。
鉄を多く含んだ食品を積極的に摂取します。
鉄は20mg/日以上を目標に、吸収のよりヘム鉄を多く含んでいる食品を選択します。
ヘム鉄(吸収率15~25%)・・・肉・魚・卵・乳製品などの動物性食品に多く含まれます。
非ヘム鉄(吸収率2~5%)・・・大豆・野菜・海藻などの植物性食品に多く含まれます。
『鉄を多く含む食品』
食品 | 1回使用量あたりの鉄含有量 |
豚レバー60g | 7.8mg(ヘム鉄) |
鶏レバー60g | 5.4mg(ヘム鉄) |
豚ヒレ80g | 1mg(ヘム鉄) |
卵1個(Mサイズ1個) | 0.9mg(ヘム鉄) |
あさり水煮10g | 3.8mg(非ヘム鉄) |
あさり佃煮20g(大さじ2杯) | 3.8mg(非ヘム鉄) |
牡蠣60g(4個) | 1.1mg(ヘム鉄) |
わかさぎ70g(5~6匹) | 0.6mg(ヘム鉄) |
納豆50g(1パック) | 1.7mg(非ヘム鉄) |
木綿豆100g(1/4丁) | 0.9mg(非ヘム鉄) |
大豆水煮40g | 0.7mg(非ヘム鉄) |
高野豆腐(乾)8g(1/2枚) | 0.5mg(非ヘム鉄) |
小松菜70g(生) | 2mg(非ヘム鉄) |
ほうれん草(生) | 1.4mg(非ヘム鉄) |
ひじき(乾)5g | 2.8mg(非ヘム鉄) |
ごま6g(小さじ2杯) | 1mg(非ヘム鉄) |
ピュアココア20g(約大さじ3杯) | 2.8mg(非ヘム鉄) |
ビタミンCを多く含んだ食品を積極的に摂取します。
ビタミンCは鉄の吸収率を高める作用があり、特に非ヘム鉄を吸収されやすい形に変える働きがあるので、不足しないよう心がけましょう。
『ビタミンCを多く含む食品』
野菜・果物・いも類など。
ビタミンCは熱を加えると約50%が壊れてしまうので、野菜は毎食たっぷり食べるようにします。果物やいも類は食べすぎると糖質のとりすぎにつながるので注意しましょう。
胃酸の分泌を高める工夫をします。
胃酸がしっかり分泌されると、鉄の吸収率がよくなります。
『胃酸の分泌を高めるために』
- よく噛むこと。
- 酸味を活用します・・・梅干しや柑橘類、酢の物などを食事に取り入れます。
- 香辛料を使用します・・・こしょう・カレー粉・生姜などを料理に取り入れます。
銅を多く含んだ食品を積極的に摂取します。
銅は鉄を材料にヘモグロビンが合成される時に必要不可欠なミネラルです。また、小腸からの鉄吸収を促進する働きもあります。
『銅を多く含む食品』
食品 | 1回使用量あたりの銅含有量 |
豚レバー60g | 0.59㎎ |
鶏レバー60g | 0.19㎎ |
牡蠣60g(4個) | 0.53㎎ |
茹でたずわいがに100g | 0.56㎎ |
たらばがに缶詰50g | 0.29㎎ |
いか60g | 0.27㎎ |
ブラックタイガー45g(3匹) | 0.18㎎ |
納豆50g(1パック) | 0.31㎎ |
木綿豆100g(1/4丁) | 0.15㎎ |
大豆水煮40g | 0.11㎎ |
アーモンド15g(10粒) | 0.2㎎ |
ごま6g(小さじ2杯) | 0.12㎎ |
ピュアココア20g(約大さじ3杯) | 0.75㎎ |
貧血食1日目(朝食)
ごはん 600kcal、たんぱく質25.3g、鉄分6.7g |
- ごはん 150g
みそ汁
- みそ 12g
- 木綿豆腐 30g
- 小松菜 30g
納 豆
- 納豆(1パック) 50g
- オクラ(1本) 10g
- ねぎ 5g
- 焼きのり 少々
刻み昆布の炒め煮
- 刻み昆布(乾) 7g
- あさりむきみ 20g
- にんじん 10g
- ごま油(小1/2杯) 2g
- 砂糖(小2/3杯) 2g
- 料理酒(小1/2杯) 2g
- しょうゆ(小2/3杯) 4g
- ごま(小1杯) 3g
きゅうりと麩の酢の物
- きゅうり 50g
- 小町麩 2g
- 砂糖(小2/3杯) 2g
- 酢 (大1/2杯)
フルーツヨーグルト和え
- バナナ(1/2本) 50g
- プルーン(3個) 30g
- ヨーグルト 100g
刻み昆布の炒め煮
- 刻み昆布(乾)は水に浸してもどす(前の晩に浸しておきましょう)。
- 1をざるにあけ、よく洗う(砂がついている時があるため)。
- にんじんをやや太めのせんぎりにする。
- 鍋にごま油を入れて熱し、刻み昆布とにんじんを入れて炒める。
- 全体に油がなじんだら、ひたひたよりやや少なめの水と調味料を入れて煮る。
- 煮汁が半分くらいになったらあさりむきみを加える。
- 器に盛り、ごまをふりかける。
- 刻み昆布を切干大根に代えても、ほぼ同量(0.6mg)の鉄分を摂ることができます。ひじきに代えると6.5倍の3.9mgの鉄分を摂ることができます。
-
あさりはたんぱく質食品ですが非ヘム鉄です。酢の物を献立に加えると、酢の酸味が胃液の分泌を促し、鉄分の吸収率を高めてくれます。
貧血食1日目(昼食)
ごはん スペイン風オムレツ スライスオニオン いんげんとささみの胡麻和え トマトジュース 598kcal、たんぱく質29.3g、鉄分5.1g |
- ごはん 150g
スペイン風オムレツ
- 卵 75g
- プレスハム 30g
- じゃがいも 30g
- たまねぎ 30g
- ピーマン 5g
- 塩(小1/10杯) 0.5g
- こしょう 少々
- 油(小1杯) 4g
- サラダ菜 15g
- ブロッコリー 30g
- ミニトマト(2個) 30g
- ケチャップ(小2杯) 10g
- 中農ソース(小1杯) 5g
スライスオニオン
- たまねぎ 60g
- カットワカメ 0.5g
- 糸けずり 少々
- しょうゆ(小1/2杯) 3g
いんげんとささみの胡麻和え
- いんげん 50g
- 鶏ささみ 15g
- すりごま 6g
- しょうゆ(小1/3杯) 2g
- 砂糖(小2/3杯) 2g
トマトジュース
- トマトジュース(1缶) 190cc
スペイン風オムレツ
- プレスハム、じゃがいも、たまねぎ、ピーマンはすべてさいの目に切る。
- じゃがいもは火が通りにくいので、レンジに約2分かけやわらかくしておく。
- 卵は割りほぐし、塩・こしょうで味をつけておく。
- フライパンに油を入れて熱し、切ったハム、たまねぎ、ピーマンを炒める。
- たまねぎが少し透きとおってきたら、2のじゃがいもを加えて卵を流し入れる。
- スクランブルエッグを作るようにさいばしで軽くかき混ぜてから形を整えてふたをして、弱火で蒸し焼きにする。
- 皿に野菜を添えて盛り付ける。
- プレスハムはロースハムよりエネルギーが約2/3と低いのですが、約2倍の鉄分を含んでいます。
-
鉄分はビタミンCと一緒に摂ると鉄分の吸収が促進されます。野菜があまりたくさん摂れない人はトマトジュースでビタミンCを補いましょう。レモンを搾ればさらにビタミンCアップになります。
貧血食1日目(夕食)
ごはん 875kcal、たんぱく質33.8g、鉄分5.1g |
- ごはん 150g
牛ヒレ肉のソテー人参グラッセ添え
- 牛ヒレ 90g
- 塩(小1g) 1g
- こしょう 少々
- にんにく 10g
- 油(小2杯) 8g
- にんじん 30g
- パセリ 5g
ポテトとパプリカのソテー
- じゃがいも 40g
- 赤ピーマン 15g
- 黄ピーマン 15g
- 油(小1/2杯) 2g
- カレー粉(小1/4杯) 0.5g
- 塩(小1/10杯) 0.5g
- こしょう 少々
ツナサラダ
- ツナ缶 20g
- トマト 50g
- アスパラガス(2本) 50g
- レタス 15g
- ノンオイルドレッシング 10g
- パンプキンポータージュ
- 裏ごしかぼちゃ 40g
- コーンポタージュの素 15g
- 牛乳 100cc
- 水 40cc
- 生クリーム 5g
- パセリ 1g
フルーツ
- ぶどう 100g
牛ヒレ肉のソテー人参グラッセ添え
- まずグラッセを作る。
①. にんじんをシャトー型に切る。
②. 鍋ににんじんを入れ、かぶるくらいの水と砂糖を加えて煮る。 - 牛ヒレは塩・こしょうをふって下味をつけておく。にんにくは薄めにスライスする。
- フライパンに油を入れて熱し、先ににんにくをカリカリになるまで炒めてから取り出して、油を切っておく。
- 同じフライパンで牛ヒレを焼く。
- 皿に牛ヒレとにんにくチップを盛りつけ、人参グラッセとパセリを添える。
- 牛ヒレは豚ヒレの2倍多く鉄分を含んでいます。
- 裏ごしかぼちゃはレトルト食品や離乳食コーナーに置いてあります。
貧血食2日目(朝食)
ごはん みそ汁(生揚げとねぎ) 目玉焼き野菜添え 五目豆 ほうれん草ピーナッツ和え 味付のり りんごジュース 683kcal、たんぱく質27.3g、鉄分6.3g |
- ごはん 150g
みそ汁
- みそ 12g
- 生揚げ 20g
- ねぎ 30g
- だし汁 150cc
目玉焼き野菜添え
- 卵 75g
- こしょう 少々
- 油(小1/2杯) 2g
- キャベツ 20g
- レッドキャベツ 5g
- ミニトマト(2個) 30g
- ソース(小1杯) 5g
五目豆
- 大豆(乾) 10g
- 早煮昆布 1g
- ごぼう 20g
- にんじん 15g
- こんにゃく 20g
- みりん(小1/2杯) 3g
- しょうゆ(小1杯弱) 5g
- 砂糖(小1杯) 3g
ほうれん草ピーナッツ和え
- ほうれん草 70g
- ピーナッツ粉 6g
- 砂糖(小2/3杯) 2g
- しょうゆ(小1/6杯) 1g
味付けのり
- 味付けのり 1袋
ジュース
- リンゴジュース 200cc
- ほうれん草の鉄分含有量は野菜の中でもトップクラスです。しかし、ほうれん草は鉄分吸収率が1~2%と低くなります。そこで、良質なたんぱく質(この献立では卵)と一緒に摂り、吸収率をアップさせましょう。
貧血食2日目(昼食)
胚芽パン 737kcal、たんぱく質29.1g、鉄分10.1g |
- ライ麦パン 60g
- マーガリン(小1杯) 4g
- イチゴジャム(大1杯強) 20g
豚レバーのきのこソースかけ
- 豚レバー 60g
- みりん(小2/3) 4g
- 料理酒(小1杯) 5g
- 砂糖(小2/3杯) 2g
- おろしにんにく 少々
- 油(小1杯) 4g
- しめじ 15g
- えのきたけ 15g
- まいたけ 15g
- 赤ピーマン 5g
- マーガリン(小1杯) 4g
- 塩 0.3g
- 赤ワイン(小1杯) 5g
ポテトサラダ野菜添え
- じゃがいも 70g
- にんじん 10g
- きゅうり 10g
- マヨネーズ(大1杯弱) 12g
- 酢(小1杯) 5g
- 塩(小1/10杯) 0.3g
- サラダ菜 10g
- トマト 50g
抹茶ミルク
- 牛乳 200cc
- 抹茶(小1杯) 2g
- 砂糖(小2杯) 6g
フルーツ
- メロン 100g
豚レバーのきのこソースかけ
- 下処理をしたレバーを調味液とおろしにんにくを合わせたものに約10~15分つける。
- その間にきのこソースを作る。
①. しめじ・えのきたけ・まいたけは食べやすい大きさに切り、赤ピーマンは太めのせん切りにする。
②. フライパンにマーガリンを入れて溶かし、1を炒めて塩・赤ワインで味をつける。 - フライパンに油を入れて熱し、レバーを焼く。
- 皿にレバーを盛りつけ、きのこソースをかける。
- 豚レバーは鶏レバーの約1.5倍、牛レバーの約3.3倍の鉄分を含んでいます。レバーは鉄分以外にも造血作用に必要なビタミンB12や葉酸も多く含んでいます。
-
ライ麦パンは食パンとほぼ同じエネルギーですが、鉄分は2.3倍多く含んでいます。
貧血食2日目(夕食)
ごはん 肉じゃが マグロのやまかけ 梅肉和え すまし汁(豆腐とみつば) 梨 744kcal、たんぱく質38.3g、鉄分3.7g |
- ごはん 150g
肉じゃが
- 牛肩ロース脂身なし小間 60g
- じゃがいも 80g
- しらたき 30g
- たまねぎ 50g
- にんじん 20g
- 油(小1杯弱) 3g
- 砂糖(小1杯) 3g
- みりん(小1/2杯) 3g
- しょうゆ(小1/2杯) 8g
マグロのやまかけ
- マグロ赤身 60g
- 長芋 70g
- 焼のり・わさび 少々
- しょうゆ(小1/2杯) 3g
梅肉和え
- もやし 60g
- きゅうり 15g
- 梅干 10g
- みりん(小1/2杯) 3g
すまし汁(豆腐とみつば)
- 豆腐 30g
- みつば 5g
- 塩 0.8g
- しょうゆ(小1/3杯) 2g
フルーツ
- 梨 80g
貧血食3日目(朝食)
レバーチーズトースト さつまいものミルクスープ アボカドサラダ 871kcal、たんぱく質40.0g、鉄分6.5mg |
レバーチーズトースト
- サンドイッチ用ライ麦パン 2枚
- レバーペースト(市販) 40g
- たまねぎ 15g
- とろけるチーズ(ピザ用) 25g
さつまいものミルクスープ
- さつまいも 50g
- にんじん 15g
- 小松菜 50g
- コンソメ(小1/4杯) 1g
- 塩(小1/5杯) 1g
- 牛乳 200cc
アボカドサラダ
- アボカド(1/3個) 50g
- アスパラ 1g
- トマト 40g
- レタス 15g
- バジル 2g
- ポッカレモン 少々
- こしょう 少々
レバーチーズトースト
- パンにレバーペーストをぬり、スライスしたたまねぎをのせ、とろけるチーズをかける。
- トースターでチーズがとろけるまで焼く。
アツアツのうちに頂きましょう!
- レバーペーストはびん詰めで市販されています。鉄分含有量は生のレバーより半分(100g中7.7mg)と少なくなってしまうのですが、加工されているため臭みも気にならず、カロリーもマーガリンに比べて1/2低いので、クラッカーにぬっておやつ代わりに食べるのも良いでしょう。
-
さつまいものミルクスープのさつまいもはとにんじんは一口大に切り、電子レンジにかけてから作ると短時間でできあがります。
貧血食3日目(夕食)
ごはん さんまの塩焼き ひじきの高野豆腐あえ モロヘイヤの酢醤油かけ しじみみそ汁 748kcal、たんぱく質36.6g、鉄分5.7mg |
- ごはん 150g
さんまの塩焼き
- さんま(正味105g) 150g
- 塩 適量
- しそ 1枚
- 大根 40g
- しょうゆ(小さじ1/2杯) 3g
ひじきの高野豆腐あえ
- ひじき(乾) 5g
- 油揚げ 5g
- にんじん 15g
- 生しいたけ 10g
- 高野豆腐(1/2枚) 8g
- ごま油(小さじ1杯弱) 3g
- 砂糖(小さじ1杯) 3g
- みりん(小さじ1杯) 6g
- しょうゆ(小さじ1杯) 6g
- 万能ねぎ 2g
モロヘイヤの酢醤油かけ
- モロヘイヤ 80g
- 酢(小さじ2杯) 10g
- しょうゆ(こさじ1/2杯) 3g
しじみ味噌汁
- しじみ(貝つき40g) 10g
- みそ(小さじ2杯) 12g
- だし汁 150cc
ひじきの高野豆腐あえ
- ひじきの煮物を作る。
- 乾燥したままの高野豆腐をおろし金ですりおろし、1に加えて軽く煮る。
- モロヘイヤは造血に必要な葉酸とビタミンB6が豊富に含まれた食品です。